漢字の泰斗からの普及版字書
- 作者: 白川静
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2003/12/20
- メディア: 単行本
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もともと漢字の書き取りが得意だったが、宮城谷昌光の小説に引用されていたのを読んだことが白川静先生(この方を私はもうどうしようもなく尊敬している)との出会いである。これによって、漢字の成り立ちの面白さに目覚めてしまった私は『白川静著作集』全12巻も買い込んだほど傾倒してしまった(さすがに本編のみで力尽きてしまっているが…。)
それでも、白川先生の著書は私たちの世代には読みなれない表現も多く、全体に格調高く難しい。読んでいるうちにいつの間にか眉間に皺が寄っている感じだ。
ところが、この1冊はその枠を見事に破壊した字書となった。中学生や高校生にも使えるものという触れ込みだが、本当に読みやすい文体になっている。しかも内容の質は落ちておらず、単なる表音記号ではない漢字の世界の奥深い森を明るく照らす明かりとなった。
常用漢字に絞ったことで、ハンディな小型の字書に変身しており、バッグの中に常に入れて置きたいものとなっている。