誘われる「夢」の世界

リンボウ先生が読む 漱石「夢十夜」

リンボウ先生が読む 漱石「夢十夜」

リンボウ先生こと林望のラジオ番組から生まれたCDブックである。
CDには、絶妙な選曲のクラシックをBGMに、林望による夏目漱石夢十夜の朗読、そして本にはラジオ番組でのコメントが納められている。

番組の流れを辿れる本はもちろん面白い。しかし、この一冊に限っては、やっぱり魅力は朗読CDである。

漱石の作品は、とてもシュールである。その名文が名調子で朗読されると、すうっと心の深いところへ届いてしまう。静かに、穏やかに、しかし強力に漱石の文章が入り込み聴く者を夢の世界に誘う。しかし、その夢は心地よいというのとは少し違うものかもしれない。覚めてから振り返ると、急にぞうっと鳥肌が立つようなものである。そのくせ怖いもの見たさのように、またその世界に戻りたくなる、聴く者を病みつきにしてしまう魔力が秘められている。

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