ほら、あれ、何て言うんだっけ

アレ何?大事典

アレ何?大事典

恥ずかしい文章を書きたくないので、まだ最近のことだが、辞典・事典・字典の類は多く手元に置くようにしている。その中でも異彩を放つのがこの一冊である。
タイトルどおりに物の名前の事典である。ああ、あれ、ほら、あれ何て言うんだっけ…と、その物の存在は多くの人がよく知っているが、その名前はと聞かれるとちょっと思い浮かばない…、そんなものの正式名称とそれにまつわる知識が単語集のようにページの表にその物の表示、裏側に名前と説明という形で表示されている。
たとえば、
「果物に巻いてある白いネット」は、「フルーツキャップ」というのだそうで、ポリエチレンで造られている「農業用緩衝材」であって、最大のシェアを誇る工場はやはりフルーツ大国岡山にあって、今や人間の三倍のスピードで果物にキャップをかける機械もあること、ミカンなどにかける赤いネットは「棒ネット」という
のだそうである。
取り上げられている物は250種以上、日用品やよく目にする記号やマークからナポレオンの帽子やフランシスコザビエルの髪型までとバラエティーに富んでいる。
知っていて何かの役に立つかというと、ちょっと首を傾げざるを得ない、いわば「トリビア」ではあるが、その物の簡潔な表現と、正式名称の意外な堅苦しさや、拍子抜けするような安易な命名が面白くてつい読んでしまう、引く事典ではなく、読む事典である。